Cuphead RTA解説記事-Kaleva Swap

 久しぶりに記事を書きましたが、今回はポケモンではなく、CupheadのRTAにおける必須技についての解説になります。

本来は動画を上げようと思っていたのです。しかし少しだけ仕様がややこしい部分があって、詳しく説明するとかなり内容が膨らんでしまうので、それならこちらで文字に起こした方が分かりやすいと考えました。これを読んでくれた方がCupheadに興味を持ってくれたら嬉しいです。

 

〈武器の仕様〉

 まず、カップヘッドにおける武器の仕様を簡単に説明します。武器が2種類装備できることは言うまでもないですが、重要なのは武器ごとにクールタイムが指定されている点です。詳しい表は以下のようになっています。

docs.google.com

例えば、オトシダマであれば一発のダメージが11.6、クールタイムが21フレームに設定されています。この表もKaleva Swapを使用する上で直接関係する訳ではないんですが、EX技の消費フレームが記載されていたので例として挙げておきました。

 

〈武器切り替えバグとクールタイム〉

 武器のクールタイムの仕様は、武器切り替えバグが使用可能なLegacy版にも存在します。ただそれ以降の版と異なり、構えていない武器のクールタイムも消費されるので、武器切り替えを連打することで凄まじい火力を叩き出せるのです。

 2017年頃に上がっていたRTA解説動画では武器切り替えバグについて「攻撃力が純粋に高い武器を装備した上で武器交換し続ける技」と説明されていました。しかし実際の仕様は「ショット1を撃つ→クールタイムが消費されたショット2に切り替え→ショット2を撃つ→クールタイムが消費されたショット1に切り替え(以下繰り返し)」といった感じです。なので単発威力が高いブーメラン+オトシダマがそのままLegacyで最高火力かというとそうではなく、武器切り替えバグのDPSは2種類の武器のDPSの和になるため、実際に火力が一番高いのはオトシダマ+スプレッドになります。

 また武器切り替えバグを「マリス砲」に例える場合も多いですが、両者の仕様は全く異なります。カップヘッドの武器切り替えバグはクールタイムが消費された瞬間だけ武器切り替えを行うので、マリス砲のように武器切り替えが速ければ速いほど効率が上がる訳ではなく、むしろ適切な速度で切り替えないとダメージ効率は下がっていきます。

 

〈Kaleva Swap〉

 だいぶ話が脱線してしまいましたが、Kaleva Swapの説明に入ります。この技を一言で表すと「通常ステージでEX技中にショットを撃つテクニック」となります。

 まずEX技の仕様として、EX技を使用する間はショットが撃てないというものがあります。上の資料にもありましたが、EX技の消費フレームは一律で34に設定されています。これだけなら分かりやすいんですが、問題はその消費フレームの間にEX技本体が出て、そこから更に少しの間ショットが撃てない時間が存在する点です。また撃てないと言いましたが、武器切り替えボタンは普通に押せるので、EX技に何が出るかはEX技が出る直前に構えていた武器に対応します。

 色々ごちゃごちゃしていますが、EX技の挙動をまとめると、以下のようになります。

1.EX技ボタンを押す、選択した瞬間に構えていた武器が撃てなくなる

2.17fの待機時間

3.EX技本体が出現、その時EX技に使用した武器が撃てなくなる

4.16fの待機時間

 ここで1.3.の挙動に違和感を覚える方は多いと思います。その時構えていなかった方の武器はどうなるのかという話ですが、実はもう片方は制限を受けません。更にEX技中でも武器切り替えボタンを押せる仕様を加味すると、1回切り替えを挟みさえすればロックされた武器の縛りを解除することも可能です。つまりKaleva Swapを使うためには、2.と4.の待機時間の間にそれぞれ撃てる方の武器に切り替えておく動作が必要です。というか難しい動作が何もいらないので、覚えておきさえすれば誰でも使えます。

 しかし、簡単とはいえそのメリットには凄まじいものがあります。例えば全ボスカテゴリーでは13体の通常ステージに挑む必要がありますが、仮に全てのステージでオトシダマEXを6発使用した場合、4.の間だけKaleva Swapを使ったとしても、大体600ダメージほどの追加ダメージが見込めます。これだけで大体キングダイスの最終形態を倒せてしまうのです。これでもすごく控え目な見積もりで、EXを10発以上使用するステージですら普通にある位です。更に付け加えると、スプレッドEXでKaleva Swapを使った場合、精度を5割に見積もっても前者の1.6倍程のダメージが出せますから、それが出来るステージも含めると、Kaleva Swapを知っているだけで、2~3分ほどの差が生まれます。

 1.と3.で見られる武器が撃てなくなる仕様も意外と重要です。あくまで仮説なのですが、もしこの仕様がない場合オトシダマEXを撃った後、4.の段階で通常のオトシダマが出ても不思議ではありません。しかし実際のところ、スプレッドEXを使った際のKaleva Swapでは4.でオトシダマが出て、オトシダマEXの場合であればスプレッドが出てきます。この辺の経験から、EX技時には2回、その時構えていた武器がロックされる仕様があると推測しています。

 

〈Grond Swap〉

 ここではKaleva Swapの派生技を解説します。オトシダマとスプレッドを装備している状態でEXを使うときは、基本的にスプレッドからEXを撃つ瞬間だけオトシダマに切り替え、再びスプレッドに戻す動きを多用するかと思います。この時の動きは次のようになりがちです。

①武器をオトシダマに切り替える、EX技ボタンを押す

②オトシダマが撃てない状態で17fの待機時間

③オトシダマEX

④オトシダマからスプレッドに戻す、16fの待機時間

 ②の時、本来であればオトシダマが固定されている以上はスプレッドに切り替えておきたいはずです。しかし実際は③でオトシダマEXを撃つ必要があるため、ここでスプレッドEXに切り替えて待つのはリスクが高い行動になります。結果として、この場合は17fを全く使用せず、④の16fのみ撃った方が安定しやすいです。

 ではいかなる場合でも使えないかというとそんなことはありません。上に示した通り、①の段階でオトシダマがロックされているのが問題ですから、縛られない、もしくは解除する動きを挟めば前半の時間を安全に使うことが出来ます。よって動き方は以下のようになります。

1.クールタイム調整

2.スプレッドを構えた状態でEX技を選択(もしくはEX選択後にスプレッドに切り替える)

3.オトシダマに切り替える

4.オトシダマEX

5.スプレッドに切り替え

 1.がよく分からないと思う方はいるかと思います。これはオトシダマのクールタイムを若干消費しておいて、17fの間にオトシダマが出せるようにしておく動きです。普通に動くと物理的にオトシダマが出せないので、上手く調整する必要がある訳ですね。

 一方で調整を挟んでしまうとスプレッドを撃たない時間が出来るため、その分は無駄になるのですが、それでもオトシダマ1発分でダメージ効率としては大体5ダメージ程のプラスになります。メリットとしては微々たるもので、オトシダマEXを使う場面で必ずこれを使う程ではないとは思います。しかし僅かなダメージ差で大きな短縮になりうるリビー&クロークス第3形態や、コンサイ一家第3形態などのような攻め行動がリスクになりづらい相手には積極的に使っていけるテクニックだと考えています。

 

〈まとめ〉

以上がKaleva Swapの解説になります。One Gunやlow%等の特殊レギュレーションを除いてほぼ全てのカテゴリーで使用するテクニックですが、覚えれば案外簡単に出来るかもと思ってくれたら嬉しいです。これを覚えておくだけで扱える火力が全然違いますから、RTAを始めてみたい方はまず武器を素早く切り替える練習から始めてみても面白いかもしれませんね。

ここまで読んでくださりありがとうございました。