今回のINCで使用した構築を紹介します。左から採用した順に並べています。
構築経緯の説明
前回の記事(WCS2019 サンシリーズ 構築原案)でも少し触れましたが、自分はサンシリーズのトップメタがゼルネアス、カイオーガになると予想し、それらに負けないような構築が望ましいと考えていました。そのため、ゼルネアスを一撃で倒せる帯ソルガレオ、ソルガレオと攻撃の相性が良いカプコケコを軸に構築を組みはじめました。次にこれら2匹が苦手とするナットレイやカミツルギといった鋼タイプへの打点を持ち、猫騙しと威嚇による誤魔化しも出来るガオガエンが入ってきました。また、ここまでの3体がスカーフカイオーガに隙を見せているため、4匹目は全員に間接的な水耐性を付与出来るグラードンに決まりました。
大体のカイオーガ構築にはこれで対応できるようになりましたが、基本選出の4体ではルナアーラ構築やグラードン構築に対応出来ません。特に基本選出の3体が地面弱点であるため、グラードン構築には残りの枠で五分五分くらいにもっていかなくてはなりません。以上の事から、グラードンに打点を持ちつつルナアーラのシャドーレイを無効化できるポリゴン2、晴れ下で相手のグラゼルネを縛りつつこちらのグラードンともシナジーがある葉緑素持ちの珠フシギバナを採用しました。
ポリゴン2の使用感はおおむね良好で、多くのルナアーラ構築にはこれで臨みましたが、グラードン対策をフシギバナに任せたためにグラードン+炎×2という構築が非常に苦しくなってしまいました。なんとかできないかと考えたところ、オーバーヒートで大体のグラードンが落とせて、追い風が使えるサンパワーリザードンの採用に至りました。体力はゴリゴリ削れていきますが、S操作役を持つことによって上の構成にもグラードンを選出しやすくなるのはフシギバナにはない利点であり、多くのグラードン構築に対して活躍してくれました。以上で大体の構成に対する選出が決まったので、後は持ち物等を調整しながら本番に臨みました。以下がINCで使用した技構成等になります。
ポケモン | 持ち物 | 技1 | 技2 | 技3 | 技4 |
ソルガレオ | 命の珠 | 馬鹿力 | メテオドライブ | 守る | ワイドガード |
カプ・コケコ | 拘り眼鏡 | 10万ボルト | ボルトチェンジ | 草結び | マジカルシャイン |
ガオガエン | イアの実 | 猫騙し | 蜻蛉返り | 吠える | フレアドライブ |
グラードン | イトケの実 | 断崖の剣 | 岩石封じ | 守る | 炎のパンチ |
ポリゴン2 | 進化の奇石 | 10万ボルト | トリックルーム | 自己再生 | シャドーボール |
リザードン | 防塵ゴーグル | 追い風 | 火炎放射 | 守る | オーバーヒート |
個体解説
ソルガレオ@命の珠 特性:メタルプロテクト 性格:陽気
実数値(努力値):213(4)‐189(252)‐127‐×‐109‐163(252)
ゼルネアスに強い伝説枠です。最初は達人の帯を持たせていましたが、ガオガエンとゼルネアスに対する乱数が大きく動くため命の珠を持たせました。ワイドガードはカイオーガの根源、潮吹きやグラードンの断崖の剣を防ぐために採用しています。守るは縛りの解除や相手のトリックルーム、追い風の時間稼ぎに使います。最速カプ・テテフを上を取るために最速にしましたが、意地っ張りの方が良いと思います。
カプ・コケコ@拘り眼鏡 特性:エレキメイカー 性格:臆病
実数値(努力値):155(76)‐×‐106(4)‐136(164)‐115(156)‐180(108)
フィールド枠。眼鏡を持つことで禁伝クラスの火力を手に入れました。CS252が一番強くまた自然な配分ですが、雨乞いトルネロス+スカーフカイオーガ相手にはグラードンを後出しする立ち回りが出来ないため、C222カイオーガの熱湯を耐える所まで努力値を振りました。そのかわりに素早さが大きく下がりましたが、ランキング30位中での最速がトルネロスのため特に問題はないと考えました(アーゴヨンには2回倒されましたが)。技に関しては、10万ボルトと交代技のボルトチェンジ、グラードンや避雷針入りカイオーガ構築に刺さる草結びを必須技として採用しました。残り一枠は放電とマジカルシャインで迷いましたが、隣を気にせず打てる全体技という点を評価してマジカルシャインを採用しました。
ガオガエン@イアの実 特性:威嚇 性格:慎重
実数値(努力値):200(236)‐135‐110‐×‐155(244)‐84(28)
猫騙し+後攻蜻蛉返りでソルガレオ、コケコの有利な対面を用意する枠。また、吠えるを使ってジオコンゼルネアスを流す役割も持っています。地面弱点ですが、威嚇持ちのため対グラードン構築に選出しなくてはならず、その際はかなり丁寧に扱う必要がありました。攻撃技ははたきおとすと選択ですが、カミツルギの処理を考えるとフレアドライブの方が適していると考えました。
グラードン@イトケの実 特性:日照り 性格:意地っ張り
実数値(努力値):201(204)‐211(172)‐161(4)‐125(116)‐112(12)
最強の天候枠。他の構築ではグラードンをメインに据えていることが多いと見受けられますが、この構築では日照りのサポートを期待して採用しました。とりあえずC222カイオーガのダブルダメ潮吹きを晴れ下イトケの実込みで2耐えするところまで努力値を振り、残りを攻撃に回しました。A特化個体でないためH振りガオガエンが乱数一発になりますが、グラードンは後攻で行動することが多いため、攻撃一発の威力よりも行動回数を稼いだ方が良いと判断しました。専用技の断崖の剣、集中攻撃を防ぐための守るは必須技です。岩石封じは縛り関係を逆転できる点、グラードン対面で押されやすいワイドガードをかわしてホウオウやファイアローに大ダメージを与えられる点を評価しました。最後の炎のパンチはカミツルギとナットレイメタですが、場合によっては雷パンチや地団駄などと選択になります。
ポリゴン2@進化の奇石 特性:アナライズ 性格:冷静
実数値(努力値):191(244)‐×‐118(60)‐148(76)‐130(116)‐58
ルナアーラ構築に選出する補完枠です。トリックルームが使えるS操作役でもあります。数値と自己再生による高耐久力もさることながらコケコの展開するフィールドとアナライズによってある程度の火力もあります。トレース、ダウンロード、アナライズから選択ですが、トレースはカイオーガ対面で事故が起こりやすく、ダウンロードは発動した時の火力は3つの特性内で最も高いものの伝説ルールではD>Bのポケモンが多く火力が出にくいです。そのため発動機会が多く、仮想敵を倒すには十分な火力を出せるアナライズを選択しました。技は仮想敵への打点となる10万ボルトと詰めの場面で有効な自己再生は確定。シャドーボールはもともと冷凍ビームでしたが、ポリゴン2がグラードン構築への選出に絡まなくなったことから変更しました。ルナアーラメタのつもりで採用しましたが、実際はルナアーラの処理に使用しなかったためトライアタックが有効だと思います。トリックルームは追い風メタですがアナライズの補正がかかりづらくなるため使い所を見極める必要があります。
リザードン@防塵ゴーグル 特性:サンパワー 性格:臆病
実数値(努力値):159(44)‐×‐102(28)‐152(180)‐106(4)‐167(252)
対グラードン最終兵器かつS操作役。防塵ゴーグルは眠り粉を使ってくる葉緑素ポケモンや胞子ドーブル、またモロバレルなどの怒りの粉持ちを無視して攻撃できる便利な持ち物です。最初はグラードンを倒すためだけに採用していましたが、ゼルネアスくらいならオバヒで一撃、火炎放射でも無振りカプ・テテフやH252振りクロバットを高乱数一発というすさまじい火力の持ち主です。反面耐久は低い部類に入るので、このポケモンをいかに行動させるかがグラードン構築への勝敗を分けるといっても過言ではありません。
立ち回り解説
ここではある程度見る伝説の並びに対しての選出と立ち回りを説明します。Z技、メガシンカ禁止のサンシリーズの場合例外が発生しづらいため、以下のパーティに対しては選出を短時間で決めることが出来ました。
vsオーガゼルネ
サンシリーズ最強の怪物2匹ですが、オーガ入りの中では戦いやすい部類です。ソルガレオでゼルネを倒すかジオコンを積んだゼルネを吠えるで流し、天候を取りつつ攻撃していきます。また、トルネロス+スカーフカイオーガの先発にも遭遇しましたが、その場合ソルガレオはワイガ、コケコはオーガに10万ボルトを打ちましょう。潮吹きか根源ならアドバンテージを取れ、熱湯なら両方とも耐えてカイオーガを倒せるので、ゼルネの動きに気を付けて立ち回ります。正直楽に勝てる相手だと思っていましたが、INC本番では慢心して負けました。しっかり立ち回れば負けない相手なので、とにかく集中しましょう。
vsオーガネクロ
+
日食ネクロズマの画像がなかったためソルガレオと通常ネクロズマで代用しました。
オーガ+トリルの組み合わせが殆どです。一度目のトリルターンを猫騙し、ワイドガード、日照り等の要素でやり過ごし、トリルが切れたところで畳みかけるのが理想的な展開です。威嚇を入れると日食ネクロズマが置物になるため、トリル中に放置することも大事です。これも構築レベルで相性が良いためINCで慢心していたところ、サイコフィールドを忘れて眼鏡潮吹きを許してしまい完全敗北しました。集中すれば何とかなります。とりあえず相手の構築を見て勝った気にならないことが大事です。
vsディアオーガ
ディアオーガは基本的にディアルガ+αという先発でトリックルームを展開してくるため、こちらがとる戦法自体はオーガネクロと同じです。しかしディアルガが大地の力を覚えていた場合ソルガレオが行動しづらくなるため、グラードンで攻めなくてはなりません。断崖を当てたい相手に2回以上外さなければ大丈夫ですが、オーガ構築の中では一番の難敵だと言えます。また、極まれにトリルを持たないディアルガがいます。その場合はオーガゼルネと同じ立ち回りでOKです。
vsオーガイベル
猫騙し+追い風展開をされないように、こちらも猫+コケコを並べます。たまにライチュウやトゲデマルが入っていることがありますが、その場合は眼鏡コケコのマジカルシャインや草結びで削っていきましょう。カイオーガを倒せばガオガエン、グラードンが通り、イベルタルを倒せばソルガレオが通ります。特殊型でさえなければイベルタルは威嚇で抑えられるため、イベルオーガが並んで上から攻撃できる状況を作らないように注意しましょう。
vsルナオーガ
ルナアーラがいるのでソルガレオの代わりにポリゴン2を選出します。なるべくガオガエン+ポリゴン2の並びを保ちつつサイクルを回します。グラードンが雨下でカイオーガと対面した場合1体以上を失うことになるため、グラードンはなるべく後発に置いておくこともルナオーガと戦う際のコツです。こちらの伝説が一体で構築のパワーは下がりますが相性自体は良好なので、カイオーガを倒せたら後はポリゴン2とガオガエンで詰ませることが出来ます。
vsルナゼルネ
非カイオーガ構築では一番の使用率だと勝手に思っている並びです。INCではルナゼルネガエン+ドーブルドクロッグクロバットのような並びしか見なかったのですが、何かあったのでしょうか。戦い方ですが、とにかくジオコンを吠えるなりゼルネアス自体倒すなりして抑えておきます。この構築では使いませんでしたが、バークアウトも有効な対策と言えます。ジオコンを止めてしまえば後のポケモンは基本的にゼルネアスの補助要員であり、パワーも低いのでゴリ押しが通ります。
vsイベルゼルネ
ゼルネアスのジオコン展開をイベルタルがサポートする並び。ソルガレオがイベルタルに縛られていますが、幸いカプ・コケコ、ガオガエンが比較的フリーになることが多いです。イベルタルを倒す→ソルガレオを通す、もしくは吠えるでジオコンを流す→カプ・コケコ、グラードンを通すという2つのプランを意識して動くと良いです。
vsグラゼルネ
グラードン構築では恐らく一番見る形の相手ではないでしょうか。ここに来てリザードンに頑張ってもらいます。グラードンもゼルネアスもサンパワーオバヒで即死するため、対面したら迷わずオバヒを押します。相手が引けばその分リザードンの隣が動きやすくなるため、交代読みは一切しません。地面弱点のカプ・コケコをわざわざ選出する理由ですが、これは蜻蛉返り+草結びでグラードンを落とせるため、ポリゴン2かグラードンを入れておくよりも相手に刺さることが多いからです。ワイドガードをうまく使えば蜻蛉返りからカプ・コケコにつなぐことも簡単なので、レーティングではよくこの処理パターンを使用しました。
vsグライベル
前述のグラゼルネと立ち回りは同じです。しかし基本ジオコン型しかないゼルネアスと異なり、イベルタルの型が非常に多彩なため安定しないマッチングです。両方ともソルガレオに強く、ワイドガードが使いづらい場面が多々あります。相手のグラードンを早く倒してコケコを動かすことが重要になります。トップメタのオーガゼルネが凄まじく重いこの組み合わせは弱いと考えて対策を怠っていましたが今回のINC1800越えのプレイヤーにグライベルが人気だったことは驚きで、自らの思考の至らなさを実感させられました。
vsグラレシラム
見た瞬間に降参するレベルで重い組み合わせですが、追い風か攻撃かのじゃんけんに成功すれば何とか勝てないことはないです。じゃんけんに負けたら青い炎で全滅します。正直数が少ないため対策も全くしておらず、これに負けても他で取り返せば良いやと投げましたが、INC中は運よく遭遇しませんでした。
vsその他
etc...
上に挙げた伝説が一体も入っていない並びにはこちらの最も強い選出をぶつけます。伝説ポケモンの中では低パワーな相手ばかりなので、地力の差で押し切れます。
成績とあとがき
最終レート1822 60位
今回のINCは色テテフの影響(?)でボーダーが前年よりも大きく上昇しました。1800から1勝くらいで抜けられると思っていましたが、認識が甘かったようです。できればムーンシリーズでも使いたかったのですが、今の構成はジメンZグラードンで簡単に詰むので難しそうです。なので多分次はカイオーガ以外の別系統構築を使うことになりそうです。ムーンシリーズでは更に良い構築を組めるようにできればと思います。